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Finale から Dorico Pro へのクロスグレード: よくあるご質問

全般的なご質問

Finale と Dorico の主な違いは何ですか?

Finale と Dorico は共にプロフェッショナルレベルの楽譜作成ソフトウェアです。後発の Dorico は、より現代的な機能を搭載しています。

Finale はおよそどんなグラフィックの楽譜でも作成できるのが強みです。一方 Dorico はより構造化され、自動処理が進んでいます。Finale は初期設定で素晴らしい音色の再生が行えますが、他のバーチャルインストゥルメントやサウンドライブラリーを使用するのは難しいです。一方 Dorico は、初期設定ではやや再生音にリアルさが欠けますが、より簡単に音色を追加することができます。Finale はその MIDI ツールで MIDI 再生を微調整できます。一方 Dorico は、DAW のようなシーケンサースタイルの MIDI エディターを搭載し、ピアノロールと MIDI CC エディターにより、快適に楽譜の編集が可能です。

Dorico には iPad 版もあり、スタジオや学校、移動中など、どこにいても楽譜の作業を行うことができます。

Finale から Dorico へスイッチすべき理由は何でしょう?

Finale の開発は終了し、今後はアップデートが提供されません。既にインストール済みの Finale は引き続きご利用になれますが、2025年8月以降は MakeMusic 社のテクニカルサポートを受けられなくなり、新しいコンピューターにインストールしてオーサライズすることも不可能になります。

Dorico の開発は活発に行われており、アップデートも定期的にリリースしています。2023年5月にリリースした Dorico 5 は、その後8回の無償アップデートを繰り返し、新機能追加や不具合修正が施されています。Dorico 開発チームはユーザーと密接に協調し、Dorico フォーラム (英語) で直接コミュニケートも行っています。Dorico は Finale に比べてずっと若いアプリケーションですが、既に大きな進化を遂げており、Finale で可能な事のほとんどを行える上、Finale に不可能な事も行えます。

Finale から Dorico へのスイッチに際し、習得が必要ですか?

はい、他のソフトウェアアプリケーションと同様、Finale から Dorico への乗り換えにはいくつかの習得が必要になります。Dorico と Finale には類似点もあります。(例) Dorico のノート入力はステップ入力や高速ステップ入力のように切り替えられます。

しかし他の点では非常に異なります。Dorico ではワークフローに合わせた5つのモードがあり、プロジェクト上ではそれぞれのモードを切り替え、違うツールを使って作業します。用語も異なりますが、Finale のキーボードショートカットを Dorico の同様の操作に割り当てるための早見表も提供しています。

Dorico のリリース以来、数千もの Finale ユーザーが Dorico への乗り換えに成功しているので、ご安心ください。うまくスイッチするためのガイドも多数提供しています。

Finale と Dorico は作業効率の面で比べるとどうですか?

Dorico では多くの作業がユーザーのために自動化されています。

記譜の際は、休符を入力する必要がありません。好きな箇所に音符を入力するだけで、拍子に応じた適切な休符が設定されます。また複雑なリズムを入力する際も、音符の長さを指定するだけで音符の分割やタイなどが適切に設定されます。可読性のための補助の臨時記号も自動的に入力され、パート譜の確認のためにプラグインを起動する必要もありません。

楽譜の要素は衝突を回避するために自動配置され、譜表や組段は自動的に縦位置を揃えて配置されます。平易な、または通常の複雑さの楽譜では、記譜してそのまま印刷するだけで、調整する必要がないほど整った楽譜を出力することができます。

音符の記譜方法または外観を変更したい場合、Dorico では強力なグローバル設定を使っていつでも楽譜全体の調整を行えます。またプロパティパネルを使って個別の設定を上書きすることもでき、それでも求める結果が得られない場合は、浄書モードでアイテムを手動で動かすことも可能です。

Dorico ではまた、キーボードを使った操作も充実しています。ほぼ全ての操作をキーボードで行え、ショートカットのカスタマイズも可能です。また MIDI キーボード上の特定の鍵盤にコマンドを割り当てることも可能であり、Elgato Stream Deck のような外部ツールも使用できます。

機能面

Dorico には Finale でよく使うような機能が含まれていますか?

Dorico には Finale と全く同様の機能が含まれているわけではありませんが、全体的には似た機能を搭載しています。Finale が搭載し、現時点で Dorico が搭載していない機能は以下です。

  • MakeMusic Cloud への書き出しと共有機能: MakeMusic Cloud への直接の書き出しは不可能ですが、Dorico からは MusicXML ファイルの書き出しが行え、MakeMusic Cloud を含むオンライン音楽サービスで使用することができます。また MIDI、オーディオ、画像ファイルの書き出しオプションも搭載しています。
  • ReWire: Dorico を ReWire ホストと同期することはできません。ただしDorico プロジェクトに直接ビデオファイルを添付し、Dorico 内部で映像音楽を作曲することが可能です。
  • SMPTE / MTC 同期: Dorico を SMPTE または MTC ホストと同期することはできません。
  • HyperScribe: Dorico にはリアルタイム録音と優れた和声写譜機能がありますが、録音中にペダルを使って拍を指定することはできません。
  • FinaleScript: Dorico にはシンプルなスクリプトインターフェースがありますが、FinaleScript に匹敵する機能はなく、サードパーティ製のスクリプトプラグインもそれほどありません。しかし Finale でプラグインやスクリプトが必要な操作の多くは Dorico では自動的に行うことができます。
  • TempoTap: リアルタイム再生中にテンポをタップして変更することはできません。
  • 楽譜のスキャン: Dorico で直接楽譜をスキャンすることはできません。ただし SmartScore やPhotoScore のような既存のツールを使ってスキャンし、MusicXML に書き出したファイルを Dorico に読み込むことができます。
  • 内蔵ワークシート: Dorico にはワークシートのライブラリーはありませんが、洗練されたページレイアウトツールにより、独自の教材楽譜を作成することが可能です。

Dorico は積極的に開発が進められており、上記の機能は今後のバージョンアップにより搭載が検討されています。

Dorico の記譜や浄書の扱いで Finale と異なるのはどういう点ですか?

Dorico と Finale は記譜や浄書について多くの共通点を持ちます。共にマウス、コンピューターのキーボード、MIDI キーボードを組み合わせた入力方法を備え、異なる記譜方法のための専用ツールを持ち、ページ上での表示を変更するためのオプションを備えます。

Finale のパレットでは常にすべてのツールにアクセスできますが、Dorico では入力と編集を浄書と異なるモードで扱います。記譜モードでは入力、編集、削除などが行え、浄書モードでは外観やレイアウトを編集できます。こうしてモードを分けることで、誤操作を減らすというコンセプトです。

Dorico では全般的に外観やレイアウトについて、Finale より深い選択肢を提供します。自動機能が多いため、それらの自動処理をユーザーの好みに合わせてカスタマイズするためのオプションもより豊富です。

Finale では譜表とページレイアウトのツールを組み合わせてどの譜表を表示するか、配置はどうするか、複数の組段においてどう音楽を表示するかなどを調整します。Dorico ではこれら全てを浄書モードで行い、たとえば改行のようにどこで組段やページを開始するかを設定します。

Finale では、ページサイズと書類オプションのダイアログを使ってページサイズ、楽譜のサイズ、線の太さ、隙間などを調整します。Dorico ではレイアウトオプションダイアログを使い、ページや譜表のサイズその他そして浄書オプションを使って線の太さや隙間などを調整します。

Finale になく Dorico にある機能は何ですか?

Dorico には他の楽譜作成ソフトウェアにない多くの独自機能を備えています。

  • コンダクタースコアの自動コンデンシング: 大編成のスコアにておいて、指揮者の視認性のために複数パートの譜表を集約する「コンデンシング」を Dorico Pro は自動処理します。美しいパート譜と実用的なフルスコアを両立させることができます。
  • スマートなキュー: パート譜にはそれぞれの奏者の演奏内容だけでなく、演奏に入るタイミングを知らせるために、他の奏者のフレーズをキュー (合図) として挿入することがあります。Dorico Pro では引用元の楽譜を変更すると、リンクされたパート譜上のキューも自動更新できます。
  • 自動配置と衝突回避: Dorico では作成したすべてのアイテムを記譜/浄書オプションの設定に従い自動配置します。また浄書モードを使ってそれぞれの微調整も可能です。
  • ポップオーバー: ほぼすべてのアイテムの入力や編集を、簡単なキーボード操作で行える Dorico 独自のシステムです。
  • フロー: 一つのプロジェクトで複数の楽章や曲を扱えるため、ソナタ、交響曲など大規模な楽譜や、歌集、劇伴スコアなどを効率よく作成可能です。
  • シーケンサースタイルのピアノロールと MIDI エディター: DAW で広く用いられるピアノロール形式のキーエディターを楽譜表示と連動できる Dorico では、印刷する楽譜とハイレベルな MIDI 再生を両立できます。
  • サードパーティサウンドライブラリーやバーチャルインストゥルメントへの対応: VST3 互換のさまざまなバーチャルインストゥルメントを使用でき、マッピング済みの再生テンプレートも多数用意されています。
  • DTP スタイルのページレイアウトツール: Dorico Pro では音楽、テキスト、画像のフレームを自在に配置することで、たとえば脚注やテキストページに譜を配置することや、ピアノ連弾譜、教材、分析など、とても複雑な楽譜作成にも対応します。

私の楽譜を Finale でと同様に Dorico でもカスタマイズできますか?

はい、Dorico Pro はあなたの楽譜の外観を変更するためのオプションを豊富に備えています。Finale に含まれるフォントを含む、SMuFL 互換の音楽フォントを使用でき、楽譜の外観やレイアウトを変更するための数千ものオプションを搭載しています。

ファイル互換性と読み込み/書き出し

Finale で作成したファイルを Dorico で読めますか?

Dorico で直接 Finale の “.mus” や “.musx” 形式ファイルを読むことはできませんが、MusicXML 4.0 ファイルを読み込むことはできます。よってまず Finale から MusicXML 形式で書き出し、Dorico でそのMusicXML 形式で読に込めばファイルを読むことが可能です。

Finale ファイルを Dorico で読み込んだときのクオリティはどれぐらいですか?

全般的に、Finale ファイルの音楽コンテンツは高品位に Dorico に転送されます。ページや譜表のサイズなどのレイアウト情報も転送されます。一方、個別のアイテムに関する特定のグラフィックな微調整などは転送されないことが多いです。また Dorico は、MusicXML に含まれる情報のうちどれだけを維持し、どれだけを再計算するかを設定する詳細なオプションを備えています。全般的には、私たちは Dorico で MusicXML ファイルを読み込む際はできるだけ多くの自動機能を有効にさせることを推奨します。

Dorico から Finale 互換のフォーマットでファイルを書き出すことはできますか?

はい、Dorico からは MusicXML、MIDI ファイルを書き出すことができ、それらを Finale で読み込むことが可能です。

MusicXML ファイルの取り扱いについて、Finale と比べて Dorico はどのような扱いを行いますか?

Finale の MusicXML 対応は非常に成熟しており、おそらくあらゆる楽譜作成ソフトウェアの中で最も充実しています。それに比べて Dorico の MusicXML 対応はやや成熟度が劣ります。しかし私たちは読み込み/書き出し両方の機能をより完全にするべく常に取り組んでいます。ユーザーの皆様からのフィードバックをこれからも歓迎し、今後の改良につなげていきます。

学習とサポート

Dorico を素早く習得するためのリソースはどのようなものがありますか?

Dorico ファーストステップ はすべてのユーザーにおすすめするガイドです。Finale やその他の楽譜作成ソフトウェアに慣れている方にも、Dorico のプロジェクトにおける基本をステップごとに学習できます。Dorico 本体にもコンテクストヘルプが搭載され、ユーザーインターフェースやダイアログの「?」アイコンから、マニュアルの該当項目にリンクされたりしています。

また Dorico YouTube チャンネル (英語) には多数のビデオチュートリアルが掲載され、”Getting Started with Dorico SE” シリーズから始めるのもよいでしょう。ここでは Dorico SE だけでなく、Dorico Elements やPro にも共通する基本機能が解説されています。

また Dorico blog にも多くのリソース (英語/ドイツ語) があります。

特に Finale ユーザーが Dorico にスイッチするためのチュートリアルはありますか?

音楽出版と浄書を手がける Ben Byram-Wigfield によるショートビデオシリーズ (日本語字幕) があります。彼は Finale を20年以上も使い、その経験を踏まえて Dorico への乗り換えのガイドを作成しています。Dorico YouTube チャンネルで掲載されています。

Dorico にはどのようなカスタマーサポートとコミュニティリソースがありますか?

すべての Dorico Pro ユーザーに対して、輸入・販売元の株式会社ヤマハミュージックジャパンがテクニカルサポートを提供いたします。詳しくはこちらをご参照ください。https://jp.yamaha.com/support/contacts/av_pa/steinberg_notes/

また、Dorico forum (英語) では世界中の熱心な Dorico ユーザーが情報を共有しています。Dorico 開発チームのメンバーもここを訪れ、Dorico の今後の改良に関するお客様からのフィードバックやアイデアも歓迎しています。

価格とライセンスについて

Dorico には Finale ユーザー向けのディスカウント版はありますか?

はい。シングルユーザーライセンスの Finale 製品版および Finale PrintMusic をお持ちの方を対象に、Dorico Pro クロスグレード版を期間限定、特別価格にて販売しております。Steinberg オンラインショップからお買い求めください。

Dorico のライセンスオプションはどのようなものですか?

Dorico Pro クロスグレード版のご購入により、Dorico Pro の永続ライセンスが入手できます。これにより、Steinberg のエンドユーザーライセンスグリーメント (EULA) に従い、Dorico ver. 5(および ver. 5 世代のメンテナンスアップデート)を永続的にご利用になれます。またその次のメジャーバージョンの Dorico Pro がリリースされた時点では、そのバージョンへのアップデートを販売いたします。価格はその際にお持ちのバージョンによって異なります。

Dorico Pro のライセンスひとつにおいて、最大で合計3台までの Windows または macOS のコンピューターにライセンスを有効化(アクティベート)できます。ライセンスはお客様専用のもので、複数の同時使用は不可能です。

また、教育機関向けのマルチシートライセンスもございます。* 日本では現在提供しておりません。

動作環境とパフォーマンス

Dorico のシステム動作環境は何ですか?

ページ下部をご覧ください。

Finale でスムーズに動作していた同じハードウェアで Dorico は同様に動作しますか?

Dorico はシステム動作環境を満たすほぼすべてのコンピューターで快適に動作します。非常に大規模のプロジェクトにおいては、Finale よりも多くのシステムリソースを必要としますが、通常のご利用においては、Finale で快適に動くコンピューターにおいては Dorico も快適に動くといえます。

サードパーティのプラグインやインストゥルメントとの互換性問題はありますか?

Dorico は VST3 互換プラグインに対応しています。もし Dorico Pro (Windows / macOS) で VST2.x プラグインをご利用になりたい場合、Dorico の環境設定にて個別に有効化してください。VST2.x プラグインは、Apple シリコンを搭載した Mac では Rosetta 2 エミュレーションモードでのみ動作します。また Dorico (macOS) は AU プラグインには対応していません。

統合と拡張

Dorico は他の DAW など音楽制作ソフトウェアとどのように統合されていますか?

Dorico は MIDI ファイルの読み込み/書き出しができるので、Cubase や Logic、Pro Tools などの DAW とのファイル交換ができます。Dorico Pro は洗練された MIDI 読み込みワークフローを搭載し、大規模なテンプレートを持つ MIXI ファイルを、作業しやすいスコアに変換し、DAW で作成したアレンジやオーケストレーションを読み込んで楽譜にする際に多大な時間を節約することができます。

Dorico はまたオーディオファイルを、フルミックス、または個別のステムの形で書き出すことができ、DAW やオーディオエディターでそれ以降のミックスや制作を行うことも可能です。

サードパーティのライブラリーやプラグインで、Dorico で特によく動作するものはありますか?

Wallander Instruments の NotePerformer は Dorico と特によく動作します。NotePerformer Prayback Engines (EPPE) との相性も良いため、Spitfire Audio、EastWest、VSL などのハイエンドサンプルライブラリーをとても簡単に用いることができます。ただし NPPE ライブラリーはコンピューターのリソースを多く使用するためご注意ください。

Vienna Symphonic Library では Vienna Assistant ユーティリティを使ってあなたのためのカスタマイズVSL ライブラリーの作成が可能です。

Dorico 上で私の所有しているサウンドライブラリーやバーチャルインストゥルメントを使用することができますか?

はい、VST3 互換のサウンドライブラリーやバーチャルインストゥルメントはどれでも Dorico で使用することができます。Finale の ARIA Player は Dorico とも上手く動作し、ユーザーコミュニティでは Garritan ライブラリーの多くの再生テンプレートも開発されています。Dorico blog の Resourcesページ (英語/ドイツ語) では、どのライブラリーが Dorico での再生テンプレートを作成済みか、などの詳しい情報を掲載しています。

今後の開発について

Dorico の開発ロードマップはどのようなものですか?

私たちは Dorico の開発計画について公的に協議することはありません。しかし、開発チームは新機能や改良について熱心に取り組んでおり、来年公開予定の Dorico の次期バージョンにおいてそれらを盛り込む予定です。

Dorico はアップデートや新機能をどれぐらいの頻度で行いますか?

リリーススケジュールは固定されていませんが、これまではおよそ18-24ヶ月ごとに新しいメジャーバージョンの Dorico をリリースしています。またそれぞれのメジャーアップデートに続き、いくつかの無償のメンテナンスアップデートが行われ、機能のさらなる追加やバグフィックスが行われます。

Dorico の開発チームに、機能や改良のリクエストをする方法はありますか?

Dorico の今後の改良について、お客様からのフィードバックやアイデアは歓迎しています。Dorico forum (英語) では最も直接的に開発チームとコンタクトでき、ここは Dorico 開発チームのメンバーが定期的にチェックしています。またテクニカルサポートチームでもご意見を受け付けます。

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